映画「チャップリンからの贈りもの」

映画「チャップリンからの贈りもの」

2015年10月31日(土)8:40 PM

本日、シネマイーラで初日。昨夜から頭痛で、今朝はショボショボしていたが、日曜日は仕事だし、今日は何もない日として、何かしたい。で、この映画。どうしようかなあと悩みつつ、朝9時半に行きました、間に合いました。体調から、最初は眠らないように努力しつつ、そして2時間,,,。

観てよかったあ、とても良かった。
話は、喜劇王チャップリンの死と埋葬をニュースで知った、親友の二人が、遺体を盗んで身代金をせしめようとした実話に基づいた(ていうよりは、インスパイアされたってのですね)話。
スイス・レマン湖畔、アルジェリア移民のオスマンは貧しく、妻は入院中だが医療費は払えず、まだ小さな娘は賢くて獣医になりたいと言っているけれど大学は無理だからと今から諦めさせようとする。そこへ親友のエディが刑務所から出所して来て、オスマンは世話をする。

現状を打破しようと、遺体の営利誘拐をするのですが、そこに至るまでの二人の現状説明が地味で退屈なようでいて、後からグッと効いてきます。エディがオスマンの娘と遊園地に行き、バレーのレッスンを見ているときの眼差し。その何とも言えない優しさとやりきれなさ、慈愛と悲哀がないまぜになって、泣けるシーンではないのでしょうが、おのずと私のピンクの頬を伝うものが。
まあ、ドジでうまくいかない二人のドタバタコメディだろうと思っていましたが、確かにそうではありながらも、胸に熱く迫るものでした。それはひとえに、お調子者のエディの表情の演技にあります。

この映画は一種のファンタジーといってもいいでしょう。リアリティのあるファンタジー。友情、家族愛、恋心、さまざまなものが、見事に底流として流れています。冒頭、出所するシーンで看守から、「もう道化はやめろよ」と言われる道化者のエディが、まさに本領を発揮するさま、軽妙なセリフとウィット。私たちはこのファンタジーのような現実を生きることもできるのです。
素敵なラストシーンを迎えたとき、そこにググーっと起き上がってきた存在を、私は心の中で感じました。チャーリー・チャップリンだ。この映画を作らせ、所々でカメオ出演し、メッセージを伝えていたのは、チャップリンだったのだと感じたのです。
現実のチャップリンの遺族も出演しています。日本が好きだったチャップリン、その桜が見事に咲いています。そして放浪紳士であり、老道化師であるチャーリーが、ずっとこの物語を引っ張っていったのだと、そんな素敵な夢想もできました。楽しくもあり、シリアスでもあり、ロマンティックでもあります。予想以上に、サービス満点の映画ではないでしょうか。ケレン味がなく、それらがキチンと盛り込まれています。

ああ、こんな映画を観たかったんだ、そう思えた映画体験でした。いつもはシネマイーラ上映終了ギリギリぐらいで感想述べていましたが、今回は初日。
皆さま、ぜひ、ご覧ください。私たちは、かくあらねばならぬのだと、つい思ってしまいます。

追記 : この映画観て、ラーメン食べたがっていた次女のことを思い出し、誘い出して一緒にラーメン食べました。親として、どこか不憫に思ってしまうのですね。甘いわけだ。

http://chaplin.gaga.ne.jp/



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